第4章 本――当真勇
あれから一ヶ月、当真は毎日このベンチへ来ていた
ベンチにもたれ掛かって寝たり、空を見ていたり、本を覗き込んできたり、特に用は無いと言っているのに毎日来ている
最初はドキドキして仕方がなかったが最近はなれてきたため隣で座っていても平然としていられるようになった
「なあ、お前ってさ好きな人いんの?」
『……へ?』
普段あまり会話がないため突然の言葉に情けない声が出た
『………え、えと……いることはいます……』
そういうと当真くんはふーんといって黙りこんだ
どことなく不機嫌そうだ
何かしたのかと自分の行動を思い出してみるけど心当たりがない
私は本に目線を戻して文字に目を通すが全く内容が頭に入ってこなかった
チャイムがなる少し前本の上に手が置かれた
『!!』
その手の主は当真くんで本を取り上げられてしまう
本をつかんでいた私はそのまま引っ張られるように当真くんに抱きついてしまった
『っ///!!
ご、ご、ごめんなさい!!!』
私はもとの体制に戻ろうとするが逆に背中に腕を回され離れられなくなった
『え、えっと…………当真……くん……?』
そう呼び掛けてみるが返事がない
1分位たつと当真くんが口を開いた
「俺……朝霧………のこと好きだ……………」
『え?』
当真くんは私の顎をつかんで上を向かせて真っ直ぐ目を見てきた
「俺と、付き合ってくれ」
そう告白してきた当真くんの顔は赤かった
『うんっ!』
私は当真くんに抱きついた
当真くんが腕に力を込める
「はぁーー、良かった。フラれたらマジでどうしようかと思った…………」
当真くんは私を抱き締めたまま頭を撫でてそういった
『でも、本当に私でいいの?もっと他にもかわいいこなら……』
「お前がいい」
『…………当真くんて恥ずかしいことをさらりと言っちゃうよね……』
「……そうか?」
『………うん。
でもそういうところも好き』
「っ!
反則だろ……」