第2章 抱けない理由
「翔くん!お帰りなさい!」
玄関の戸を開けるなり子犬ように飛びつく七海。
そろそろ落ち着いてほしいとも思いながらそんな無邪気な笑顔に癒される。
「早かったね!」
七海は早いと言うけれど俺的には全然早くなんかない。
相葉くんの無駄口に付き合わなかったら…信号が青だったら…。
「七海」
「へ?」
ちゅっ、
顔を真っ赤にして驚くあたりまだまだ子供だ。
このぐらい慣れてくれないと。
…でないと、これから先にも進みづらいだろう?
「お風呂沸いてるよ〜」
「ありがとう」
一緒に入ろう、なんて言ったら七海はどう反応する?