第2章 抱けない理由
「ただいま」
帰宅したのは午前2時半。
辺りはすっかり寝静まり、七海の声も聞こえない。
今日はいつになく忙しくて、メールを送る暇も無かった。
罪滅ぼしのために夜中でも営業している店のケーキを買ってきたけど
きっと君はまた怒るんだろうな。
そんな暇があったら早く帰ってきて、と。
でもそんな怒った顔が見たいからつい買ってきてしまう。
なんだかんだ言いながら食べる君が好きなんだ。
「七海はおねむか」
寝室のベッドを独り占めせず、ちゃんと俺のスペースを空けてるあたり可愛いな。
ケーキよりも君を食べてしまいたい。
本当は今すぐにでも襲ってしまいたい。
仕事の疲れなんて君を見ると吹き飛ぶんだ。