青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第17章 守る騎士
「知ってるよ。バレてることは」
火神が気づいていることにさえも気づいていた氷室は、一度目のリリースでシュートを放つ。
「ただのトリックショットだと思ったか?俺は相手の跳ぶタイミングを見てからどちらでも撃てる。気づいたところで意味なんかないんだよ」
ボールはネットをくぐる。
「陽炎のシュートは誰にも触れさせない」
試合は着々と進んでいき、陽泉は得点を重ねていく。
徐々に点差も開いてきた。
「アウトオブバウンズ、誠凛ボール」
コートの外に出たボールを追う火神。
その先で、ボールを拾ったのは…『キセキの世代』黄瀬涼太。
「(チィ…『キセキの世代』かよ)」
相変わらず顔整ってんなー…と思いながらも、いけ好かない『キセキの世代』の一人だと思うと、自然と眉間に皺が寄る。
黄瀬は火神に何か言い放ち、ボールを返しながら紫原にも声を掛ける。
これが、私たちにとって命取りになる一言だったなんて、私は知る由もない。