青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第16章 挨拶を。
ここでホイッスルが鳴り、第二クオーター終了。
得点は29-17…陽泉がリードしているが、問題はそこではない。
絶対防御を誇る陽泉が…これだけ失点を許してしまったのだ。
私の顔は険しいモノに変わる。
「落ち着け、枝尾」
そんな私に雅子ちゃんが、控室に戻りながら声を掛ける。
「優勢なのはうちだ。焦ることではない」
「分かってます」
「……」
優勢なのは陽泉。
だけど、私は徹底的に叩き潰したいんだ…こんな生ぬるいやり方じゃ、気が済まない。
それに…ここでこんなんじゃ、決勝で洛山を倒せるワケないじゃん…!!
「後半第三クオーター、誠凛は11番を一度下げるはずだ」
控室では早速ミーティングが始まった。
「消えるシュートには確かに驚かされたが、第二クオーター頭まで出さなかったことから、何らかの条件があり、おそらく彼の特技にも関係がある。だが、全時間その特技を維持できない彼はどこかで一度下げる必要がある。リスクはあるが、それでもやるなら今が妥当だろう。データ的にも第三クオーター温存して第四クオーター投入のパターンが多い。それに伴って陣形も変えてくるはずだ」
雅子ちゃんは淡々と言った。