青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第10章 奪われた
………はずだった。
後半開始直後。
私は彼女たちに敗けたことを知った。
藍川が気づいたのだ、私が隠し続けた情報に。
そして、桃井の驚異的情報収集力を持ってして、翔太と颯太について知られた。
「試合終了ー!優勝は帝光中学校ー!!」
私は……あの二人に敗けたのだ。
「ダブル…スコア…?」
呆然とした。
前半はこちらが勝っていたのに。
今はダブルスコアで私たちが負けている……完膚無きまでに。
「枝尾先輩…」
「俺ら…申し訳ないです」
「そんなことない!翔太と颯太はよくやったよ!」
「先輩…」
謝る後輩。
悔しかった。
泣きたかった。
でも…負けたけど、きっとこの借りは後輩たちが返してくれるはず。
そう思わないと、やってられなかった。
何より。
あの二人に敗けたことを認めたくなかったんだ。