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 『さよなら』の先に  【Ib】

第6章  独り、暗闇で


「あの人形が入った部屋になんて入りたくないけど、調べていないのはここの部屋だけだし……」
 意を決してドアノブを握る。

――異様に冷たい。

 嫌な予感が頭をよぎる。
「……ダメダメ!! 立ち止まっちゃ! 早くしなきゃ!」
 思いきってドアを開ける。
 その途端、気分が悪くなった。
「うっ……。何よ、これ……」

 その部屋は青い人形がたくさん置いてあり、その人形の中心に絵の具玉があった。

「あった!! よかった……早く出ないと」
 また絵の具玉は触れると消えた。そしてすぐさまドアを開け――られなかった。
「う、嘘!? 何で!?」
 ドアには、さっきまでなかった文字が書かれていた。


『たからさがしをしよう だれが かぎをもっているかな? いそがないと――』


「……っ!! 早く鍵を見つけなきゃ!!」
 近くにあった人形の服を破く。中には石が入っていた。
「これじゃない!! 次は!?」

 ゴーン……ゴーン……

 タイムリミットを知らせるかのように、どこからか鐘の音が響いた。

「違う! ……これもダメ!! 次!」

 ゴーン……ゴーン……

 音がどんどん低くなっていく。

「ここにも無い!! 後、調べていないのは……!」

 ゴーン……

 最後の鐘が鳴り響いた時、世界は真っ暗になった。


『いらっしゃい ギャリー ようこそ わたしたちのおうちへ♪』


 暗くなる直前、そんな声が聞こえた気がした。
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