第9章 露天風呂
火花を散らす二人。
及川先輩の額がピクピクと動き、眉と目が歪んだ。
「は、な…れろっ……!!」
及川先輩は無理やり私を引き剥がして岩泉先輩の方向へと投げ飛ばした。
ちょうど岩泉先輩の前で倒れこみ、その腕の中にすっぽりと収まった。
後ろから抱きしめられて、温かさと鼓動の速さもこれまでないほどになる。
さすがセッター。いいところにパスしますね。
「触れさせてんじゃねえよ、馬鹿」
嫉妬してるみたいだけど、温泉のせいなのか声はほんのりと優しく覇気が抜けていた。
愛おしい声。
やっぱりこの人しかいないんだ……。
松川さんと花巻さんも私を囲むようにして座り、そっと抱きしめてきた。
「今の聞いたか?嫉妬深いな岩泉」
「心配すんなよ。お前らの関係、俺とコイツは気づいてるから」
黙っとく代わり抱かせろよ?そういい松川さんと花巻さんは私の両頬にチュッとキスをした。
三年生の余裕。
そんなのが感じられるほど、落ち着いた雰囲気。
なのに太ももに触れる手がいやらしい。
大人のエロスを持った三人は、軽く私の肌に触れてきた。
「俺らも混ぜてください」
「体調大丈夫か?真白」
お風呂に浸かったまま移動してきた国見と金田一は、影山と及川先輩の様子を見ながら私の隣に座った。