第24章 喪失 3
丸山は音を立てずに
真っ赤な絨毯が引かれている廊下を歩いていた
歩きながら窓に目線を送った
窓に分厚いカーテンがあり
少しの光すら屋敷に入る事は出来ないはずなのに
肌に熱さを感じる
太陽が昇っているといつもこうだ
この痛みから逃れる為に
出来れば棺桶の中で眠っていたい
しかし今はそんな時ではない
小さいため息を付きながら
丸山はミヨの部屋に向かっていたのだ
丸山はゆっくりと
ミヨの部屋の扉をノックした
丸山にはミヨが目を覚ましたのを察したから
迎えに来たのだ
丸山は耳をすましていると
扉の向こうから小さい返事が聞こえたので
丸山は扉を静かに開いた
丸山「目を覚まされたようですね
食事の用意が出来ていますよ」
微笑みながら部屋のソファーに
座っているミヨを見つめた
その時に
丸山はミヨの異変に気が付いたのだ
ミヨは来た時から
実は黒い空気がまとわりついていた
しかし、それは途切れ途切れで見えていたので
力の強い者しか見えなかった
今、ミヨを取り巻いている空気が
一段と黒くなっていたのだ
今なら、仲間は見抜くだろうと思った
ミヨに何があったのだろうと
丸山は探るように見つめ
声をかけた
丸山「どうかされましたか?」
丸山の優しい声に
ミヨは一瞬、反応を見せたが
何かを考えるように
静かに首を振った
ミヨ「いえ、私・・・
かなり寝ていたようで・・・」
そう言いながら
今の時間は何時なのだろうかと
探すように見回していた