第5章 ワイン
【今日仕事終わったら家に来て!
ワイン買ってきたから乾杯しよっ!
料理も作っておくね♪】
昼飯を食べている時に
彼女の理緒からメールが届く。
そういえば今日は
ボジョレーヌーボー解禁日だったな。
仕事が終わり彼女のマンションへと急ぐ。
彼女部屋のインターホンを三回鳴らす。
合鍵あるけどやっぱり理緒に出迎えて欲しいからいつもインターホンを鳴らす。
「いらっしゃい、安田くん!」
「疲れた~。でも理緒の笑顔に癒されて疲れも吹っ飛んだ!」
俺は出迎えてくれた彼女を抱きしめた。
疲れた時には彼女に甘えるのが一番。
「お仕事、お疲れ様!今日も頑張ったね!」
甘える俺に嬉しい言葉で返してくれる。
その言葉でまた明日も仕事頑張ろうと思うんだ。
部屋に入ると料理とワインが用意されていた。
「乾杯!」
彼女とグラスを合わせ乾杯する。
普通のワインよりもフルーティで飲みやすい。
「これ、さっぱりしてて飲みやすいな。」
「でしょ?このワインなら安田くんも一緒に飲めるかなって思って買ってきたの!少しでも喜んでくれて良かった!」
そう、俺は酒が苦手だ。
そして彼女はどちらかといえばお酒好き。
酒が苦手な俺の為に飲みやすいワインを選んでくれたんだろう。
「俺さ、酒飲めるようになる。……一緒に晩酌できるくらい成長するから!」
「晩酌?……フフッ、そんな毎日飲んでないからね?」
俺の言葉にクスクス笑う理緒。
晩酌っていうと何か親父っぽいもんな。
「安田くん無理しなくて良いよ。その言葉だけで嬉しい!それよりさ今度美味しいバナナジュースのお店一緒に行こっ!」
「おう!今度の休み一緒に行こうな!」
バナナジュース、俺が一番好きな飲み物。
どうやら理緒は俺を喜ばせるのが得意らしい。
ほろ酔い気分の俺はポツリと呟いた。
「俺ってやっぱ幸せ者だなぁ~。」
「どうして?」
不思議そうに聞いてくる理緒に言ってやった。
「理緒が彼女で俺は幸せ者だってこと。」
「じゃあ私も安田くんが彼氏で幸せ者だね!」
ニッコリ笑って俺に抱きついてきた。
プロポーズ……いつか絶対してやるからな。