第12章 ハジメテ尽くし
お昼時になると、船内はガヤガヤして来た。
帰って来たのかな。
「おうっ、セツナ。ただいまー」
「う…シャチ、お酒臭い」
鼻にツンと来る匂いに思わず顔をしかめる。
またトラファルガーにバラされなきゃ良いんだけど。
って、トラファルガーって呼んじゃいけないんだった。
キ、キスしなくちゃいけないんだよね。
ペンギンさんもそろそろ戻って来る頃だよね。
部屋の前でウロウロとペンギンさんの帰りを待っていると。
「あっ、ペンギンさん!」
ちょうど前をペンギンさんが通り過ぎた。
「どうかしたか?セツナ」
特に驚いた様子もなく脚を止めてくれた。
うん、やっぱりペンギンさんは優しい。