第12章 ハジメテ尽くし
「呼べよ」
と、どんどん顔が近づいて来る。
「ちょっ…」
近くない?
「言わねぇんなら、このままキスするぞ」
「へ?」
キス⁉︎
「このままされてぇんなら、黙ってろよ。
呼ばなくて良い」
「え、ちょっ…」
無理だって‼︎
そう悩んでいる間にも、顔はどんどん近づいている。
私とあいつの顔の距離は…。
5㎝…4㎝…3㎝…。
あとちょっとで唇が触れそうな距離…。
「ロ、ロー‼︎」
半ば自棄になりながら叫ぶ。
そうすると、ピタリとトラファルガーの動きが止まった。
そして、離れて行く…。
良かったぁ…。
口には出さずら心の中だけで安堵の息を吐く。
「何安心してんだ」
「え⁉︎べ、別に?」
なんで分かったのかな?
口に出してないよね?