第38章 afternoon date.
「ほんとに良いんですか?」
一一今日は渡先輩とのデート。
私達はバレー部の部室にいた。
渡先輩は『木原さんもお忙しいでしょうし…』と、昼休みを指定してきたのだ。
「いいんですか?」
「はい。どこでも木原さんといられれば…」
にへっと笑う渡先輩が可愛くてきゅんとする。
無欲な人だなぁ…。
まあ正直ありがたいけど、何だか悪い気もする。
ベンチに腰掛け見合う。
渡先輩が何だか百面相で私を見ている。
そんなに緊張しなくて良いのにな。
私がふふっと笑うと渡先輩は少し赤くなってうつむいてしまう。
年上の方に失礼だったかな…。
「渡先輩、お約束のブツです♡」
私はカバンから包を出す。
「ありがとうございますッ」
パァと顔をかがやかせる渡先輩に早起きして作ったかいがあったな、と私も嬉しくなる。