第18章 【勧誘】
いらん事を言う西谷に木下が慌ててその口を塞ぐが時既に遅し、力の顔から表情がなくなっている。成田がまあまあ落ち着いてとなだめにかかる始末だ。
「まあとにかくさ縁下、そこまで心配してたらキリないと思うけど。」
「そう思いたいけどあいつがこっち来てからしばらく、色物に好かれてるだろ。パソコン部ってマニアックなの多そうな分心配で。」
「その色物が今までお前らの仲に影響するような事してきたか。せいぜい及川さんがうざいとか灰羽君と山本君と犬岡君がうるさいとか青根君と美沙さんが何気にコミュ取れるとか京谷君がハンネは覚えたとか美沙さんがウシワカを天然呼ばわりしたとかくらいだろ。」
「おい成田、ちょいちょいNGワードが入ってるぞ。」
木下が冷や汗を流す一方、
「大王様が、色物。」
日向がブフッと吹く。
「及川さんは今もままコに構ってるのか、何でだ。確かにままコは何気に親切だけどよ。」
「意外は意外かもね、及川さんって顔から選んでるイメージあるから。ね、ツッキー。」
「あの人に限らず物珍しいだけデショ、ままコさんのキャラが濃いから。」
「美沙ちゃんがパソコン部。」
用品を取りに来ていたマネージャー陣も興味を示して清水が呟く。
「昨日うちのクラスに勧誘に来られてましたが」
谷地が言った。
「噂を聞いて来ました是非是非って感じでしたよ。美沙さんは最初自分はプログラミングとかはまともにやってないしハードも詳しくないって遠慮してたんですけど、ちょいちょい用語の意味わかってたんで向こうは十分だって喜んでました。」
「そうなんだ。」
「でも縁下は相当心配みたいだなぁ。なんかこのままだと」
東峰が苦笑しながら言った。
「パソコン部の奴が縁下の所に直談判に来そうだ。」
「まるでお嬢さんをくださいってお父さんとこに頭下げに行くみたいな話ですね。」
谷地が笑う。皆がわいわいやっているうちにいつも通り澤村がパンパンと手を叩いた。
「ほらほらお前ら、そろそろ行くぞ。人んちのネタで盛り上がるのも大概にな。で、縁下は加えて」
澤村はチラリと力を見た。
「過保護も大概にな。」
「大地さんっ。」
力は叫ぶが澤村はにっこり笑ってスルーする。ふと菅原の方も見たがこっちもさあ行くかぁと見えていないふりをしていた。