第22章 ずっと… feat.赤司
「赤司ーカスミンー!何やってんのー?」
「置いてくぞー」
「はやくはやく!」
「あ、はーい!今行きまーす!」
前を歩く三人は立ち止まって歩みの遅い俺たちに声を掛ける。
それに華澄は返し、俺を見上げながら再び頬をふくらました。
「もうっ征十郎のせいで置いてかれちゃうじゃない」
「それはすまないね」
クスッと笑いながら俺は返した。
そして華澄の前に左手を差し出す。
「ほら、行こう」
手を差し出された華澄は一瞬、キョトンとした表情をするも、次の瞬間には少し頬を赤く染めて俺を見上げる。
「うんっ」
俺の手を握り、照れながら微笑む華澄。
あの頃よりも少し大人びて…だが、その柔らかな笑みは全く変わらない。
「(華澄…ずっと側にいてくれて、支え続けてくれて…ありがとう)」
随分と遠回りをしてしまった…だが、この手だけはもう二度と離さない。
ずっと…。
END.