第16章 奇跡は起きない
勝負。
木吉さんは永ちゃんを躱し、ゴールへ向かうも、永ちゃんに弾かれる。
「なんて力だ…」
「おう、そうだ力だ!技なんて使った覚えはねぇよ!それよか木吉ぃ…テメェさっきのリアクション…まさか昔俺と戦ったこと忘れたんじゃねぇだろうな!?」
「?いや…対戦したことは覚えてるよ」
「問題はその後お前が言ったことだよ!ふざけやがって…覚えてねぇなら教えてやるよ…!」
怒った顔のまま永ちゃんは昔話をし始めた。
この話は、以前私が「どうしてそこまで筋肉をつけたがるの?」と尋ねた時に聞いた。
私は二人の因縁?なのだろうか?という宣戦布告にふぅ、と息を吐いた。
再開したC対決、『鉄心』対『剛力』。
「おぉらああ、ぁマッ…スルゥー…スクリーンアウト!!」
「ぐっ…ぬうう…おぉお!」
う、うるさい。
だが、流石は『無冠の五将』であり、強豪洛山のレギュラーと言える永ちゃん。
木吉さんはまだ空中戦がある、と手を伸ばした。
「ぬぅうぉお…おマッスルゥー…リバウンドォ!!」
リバウンドを取ったのは永ちゃん。
だけど、やっぱりうるさい。
「てゆか、毎回あれ言うのホントやめてくんないかしら」
「ああ…暑苦しくてうんざりだ」
レオ姉と黛さんも同じ意見だったようで、ぶつぶつ言っていた。