第2章 聞いてないわ
「き、聞いてないわ!」
どうしていつもそう勝手に決めるの?!
私の意見は無視なわけ?!
「不満でもあるのか?お前はマネージャーをするために僕に付いてきたのだろう」
「そうだけど…でも一言言ってくれても…」
「話はそれだけか?僕は練習に戻るぞ。お前も明日からは参加しろ」
「あ、ちょっ…」
征十郎はそれだけ言うと、練習を再開させた。
…んん?させた?
あんた、入部したての一年生でしょうに。どうして練習を再開させれるのよ。
「征ちゃんはもう主将よ」
訝しげにその様子を見ていた私に実渕さんが答えてくれる。
「主将…?」
あら?耳がおかしくなったのかしら。
それとも頭がおかしくなったの?
私の記憶が正しければ、主将というのはチームのトップで、大抵は三年生がやるものであって、それでもって征十郎は一年生で…。
んん?征十郎が主将?
「…えぇぇえええ?!」
「うるさいぞ。邪魔をするのならば帰れ」