第6章 文化祭
少しだけオレンジがかった電球色。
ココからの眺めが最高だと気付いたのは去年の文化祭だった。
二日間に渡る文化祭。
辺りがセピア色に包まれる頃になると点灯されるイルミネーション。
静かに点滅を繰り返す灯に何故かオレは夏の残像を重ねて1人涙を流した。
オレには…その灯が蛍の光のように見えて儚さを感じた。
オレの指定席。
屋上からの眺めは最高で周辺が一望出来る。
視界を遮るものなんかねぇ。
空に手を伸ばせば星だって掴めるんじゃねぇかと思える程だ。
そんなオレの特別な場所に今日は来客が1名。
何時ものようにゴロンと横になると目を閉じた。
日が暮れるには未だ時間が掛かりそうだ。
だが、その来客はソワソワしっぱなしで落ち着きがねぇ。
片目瞼だけをあげてソイツの姿を確認する。
「、パンツ見えっぞ。」
わざとからかうように言うと、顔を紅くしたがオレの横にぺたんと座り込んだ。
「ククク…見えるワケねぇーだろ。」
喉の奥を鳴らすように笑うとが頬を膨らませた。
可愛すぎるその仕草に、オレはの腕を引っ張る。
簡単にバランスを崩してオレの腕の中に収まる小さな身体。
「もう少し…暗くなんねぇと、あの灯は見れねぇよ。」
腕の中にあるの体温を確認する様にギュッと抱き締める。
「大輝って相変わらず体温が高いね。」
「相変わらず?そんなに言うほどヤって…
「ちょっと!」
腕の中で身じろいで顔を上げたが真っ赤な顔をして抗議の声を上げた。
少し動けば唇が触れそうな距離で見つめ合うと、何時しか陽は暮れて蛍のようなイルミネーションが輝きを見せていた。
「クシュっ…ん」
腕の中のがクシャミをした。
「バーカ。風邪引くなよ。」
2人で起き上がると、オレは羽織っていたパーカーをの肩に掛けた。
「プッ…オマエ小さすぎ。パーカーに着られてんじゃん。」
袖もながけりゃ裾も長い。全体的にぶかぶかでスカートが隠れる程の長さもある。
「良い事思いついたわ。」
小首を傾げるからパーカーを受け取るとファスナーを閉じずにをパーカーの中へ引き寄せる。
「コレの方があったかいだろ。」
「ありがとう。」
恥ずかしそうに振り返ったの唇にオレはそっとキスをした。