• テキストサイズ

【SS合同企画作品】冬が来るその前に

第5章 体育祭


隣のクラスのテリトリーに居るアイツの姿を探す。
友達と楽しそうに笑っているアイツがオレの視線に気が付いて小さく手を振ってきた。
(可愛い事してんじゃねぇよ。バーカ。)
片口だけで弧を描くとオレはアイツの所に駆け出した。
真っ直ぐに自分に向かってくるオレの姿を真ん丸な瞳が見つめている。
「、来い!!」
「えっ?」
差し出したオレの手にそっと手を重ねてきた。
その手を力強く握ると一気に引き寄せた。
「わっ…ちょっと!大輝!」
「うるせー、何も言わずついて来い!」
慌てた様子のを無視してオレはグラウンドのトラック内のゴールを目指して走り出した。
「大輝!待って!速いってば!」
「アン?」
が走るのが遅いわけじゃねぇ。
オレについて来るのは無理だってだけ。
だったら…
「コレなら文句ねぇだろ?」
みんなの視線が集中する中、オレはをヒョイっと抱き上げた。
「ちょっ…もう!降ろしてよ!」
「ギャーギャーうるせぇよ。その口塞ぐぞ。全校生徒の前でキスも悪くねぇだろ?」
所謂…お姫様抱っこのまま、オレは強引にの唇をキスで塞いだ。
顔を真っ赤にしたがオレの胸をドンっと叩く。
「もう…みんなが見てるのに!」
恥ずかしそうにするを見るとますますイジメたくなる。
「続きは後でな。」
わざとニヤリ…と笑ってやる。
よっぽど恥ずかしかったのかはしがみつく様に両腕を首に回してきた。
白いゴールテープを1位で切ると、オレはを静かに降ろした。
そのままの手を握って、正面の受け付けテントへ向かう。
借り物競争で引いたくじを見せる。
“1番大切な人”
と書かれた文字にオレはコイツしか思い浮かばなかった。
そこにが手元の紙を覗き込んで来る。
「なぁに?」
「1番大切な人…オマエしか浮かばねぇよ。」
目の前にある薄桃色の唇にそっと口吻けをする。
暫くして唇を離すと、首まで真っ赤にしたが俯いた。
「コレからもずっと“大切な人”はオマエしか考えらんねぇよ。だから黙ってついて来い。」
の柔らかい髪の毛をくしゃくしゃと撫でると、優しい笑顔を見せた。
「オレ様な大輝には私しかいないからね。」
オレたちはもう一度キスをした。
/ 39ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp