第17章 ➕ほらー
もう一度、叫ぶ勇気はなかった。
急ぎ足でその場を離れる。
もし、返事をした相手が岩泉さんじゃないならこちらの声で位置を知られているからだ。
気が付けば二人で手を繋いで走っていた。
どこをどう走ったか、でも、何か奥へ入ってしまったようだ。
「お、及川?」
不意に廊下の奥に明かりが灯った。
岩泉さんが廊下を曲がってきたらしい。
「ふぁ、案外早く終わったな」
欠伸を咬み殺す岩泉さんを連れて足早に外へ向かう。
岩泉さんは二階奥に綺麗目の部屋を見つけ、そこでずっとうたた寝をしていたらしい…。