第4章 Halloween《コスプレ》
今日は洛山高校の学祭、兼ハロウィンパーティーが行われる。
「きゃー!玲央似合ってる〜!」
「あら、ほんと?嬉しいわ」
生徒全員がそれぞれにハロウィンコスプレをしている。
その中でもバスケ部の実渕玲央は背が高く、綺麗な顔立ちをしており、ドラキュラのコスプレはとても似合っている。
「本当はアナタ達みたいに可愛い格好をしたかったんだけど…」
「玲央はそれでいいよー!カッコいい!」
「…ま、そう言われるのも悪くはないわね」
ただ、可愛い格好をした女の子達に囲まれているのはどうも納得がいかない。
と思いながら遠くからその様子を見ているのが私だ。
すると、こちらに気づいてしまった玲央が女の子達に断りを得て向かってくる。
「そんな陰で何してるのよ」
「れ、玲央…。ちょっと待ってそれ以上来ないで」
何よそれ、とムッとする玲央。
だけどさっきの子達の後にこの格好を見られるのはどうも恥ずかしい。
玲央ならきっと文句を言うだろう。
「もうっ、アンタのをずっと楽しみにしてたんだから!見せなさいよっ」
「わっ、待っ…」
腕をグイと引っ張られ、ついに体を全て出してしまった。
ふわりと白い布地が舞って、バランスを崩した体を玲央が抱きとめてくれる。
が、
「…ちょっと。何よこの格好は…」
かなり低めのその声にそっと顔を上げる。
玲央の顔が引きつっている。
「お、おばけ…?」
そうだ。私は真っ白の布地を被っただけの格好をしているのだ。
気合を入れていた玲央からしたらあり得ないのだろう。
「信っじらんないっ!折角なんだから可愛い格好しなさいよ!」
「だ、だってあんなの似合わないよ…」
「似合うわよ!私が選んだ子よ?!」
「ちょっ…!」
玲央は私の事になると声が大きくなる。
正直少し恥ずかしい。
「実渕、声を荒げてどうしたんだ」
すると赤司君がやって来て、玲央は赤司君にまで愚痴を言い始めた。
話を聞いた赤司君は私を振り返り格好をじっくりと見た。
緊張する。
「俺は可愛いと思うが…」
「えっ」
「ちょ、征ちゃ…」
まさかの言葉に熱くなる。
可愛いと言われて嬉しくない女子はいないだろう。
しかし玲央は面白くないらしく、私を強引に引っ張り抱きしめ頬を膨らませた。
「もうそれでいいわよっ!」