第6章 コスモス
グレーのさらさらな髪にエメラルドの瞳にスラっとした背丈。
まるで絵に描いたような美しい容姿をしたその男の子は、元気いっぱいなハーフの男の子でした。
「あ!!」
「リエーフ」
ある秋の日の美術の時間、私達のクラスは校内の風景を描写することになった。
秋ならではの授業だ。
「やっぱりここがいいよな!」
「だね。一緒に描こう」
「ん!」
多くの生徒は中庭だの運動場だの、銀杏の木が植えられた所へ行っているが、私達は違った。
いつも私達が来る所。校舎裏の茂み。
そこにはコスモスが咲いていて、秋の描写もこれなら大丈夫だろうと来たのだ。
もちろんそれだけじゃないけれど。
「あっ、来た来た」
「ほんとだ…。こんにちは」
「にゃ~」
そこにはいつも数匹の猫が集まる。
その猫達といつもここで触れ合っている。ということだ。
猫好きな私達には持って来いな場所なのだ。
そして、私達が出会った場所でもある。
「あ…」
「あ、えっと…同じクラスの人!」
「です」
いつも通り猫達の餌やりに来た私の前に、ハーフの男の子が猫じゃらしを持って猫と遊んでいた。
こんな校舎裏に人が来るのは珍しくて、ビックリした。
何故いるのか聞くと、野良猫を追いかけたらここに来たと彼は言った。
それからは彼もしょっちゅう遊びに来て、今では同じクラスでありながら、教室よりもここで話すことの方が多くなっていた。
ただ猫と戯れて笑っているだけの時間。
そんな何気ない時間も彼となら楽しい。
「リエーフ、この子達餌あると思ってるよ」
「だな…。でも今無いんだよな~」
「私も…」
「昼まで待っててくれるか~?」
「にゃ~」
私達にすり寄ってくる猫達は、私達を繋がらせて癒してくれた。
その傍で咲くコスモスは静かに揺れて、私達の繋がりをまたひとつ強くさせた。
「ちょっと待ってリエーフ、それなに?」
「え、猫だけど?」
「嘘でしょ…」
「大マジ!」
「壊滅的なセンスだね…」
「うるさいなー!」