【ハイキュー】ひとなつの (poco a poco2)
第2章 菅原の憂鬱
「完全にスガが自滅したな。」
澤村が思い出し笑いをしながら言う。
「笑うなよー。ほんと勘弁して。」
菅原がうなだれる。
「しっかし、立花強くなったなー。
いじめられてたってあの場でネタにするか?普通。」
いつまでも笑っている澤村を、菅原は軽くにらみつける。
「なんでそんなに反対してたんだ?」
澤村が笑うのを止めて聞いた。
「心配なの。」
「なにが?」
「なにもかも!」
「……たとえば?」
「あいつ、ほんとに体力ないし、身体も強くないから、
東京なんて行ったら暑さでぶっ倒れるんじゃないかとか、
そもそも一週間も他人と一緒にいたことないはずだから
ホームシックになるんじゃないかとか、
やっぱりどんくさいからみんなに迷惑かけるんじゃないかとか、
それで必要以上に落ち込むんじゃないかとか、
それにつけこんで俺の見てないところで大地がみーに手を出すんじゃないかとか、
でも合宿って大地以上に厄介そうな
たとえば音駒の主将とか、
他にもやばい奴はいくらでもいるだろうし
そういうのにみーは絶対免疫ないから
ホイホイついていっちゃったりしたらヤバくね?
と、まあ今思いつくだけでもざっとこんなカンジ。」
一通り聞き終わったところで
「俺はそんなことはしないけど」と前置きしてから澤村が呆れたように口を開いた。
「過保護っていうか、後半は完全に妄想だな。」
「うるせーどうとでも言え。」
「その様子だと、
この前言ってた覚悟とやらはまだまだ固まりそうにないな。」
「頭で理解することと心から納得することは別なの。」
「さようですか。」
澤村はポンポンと励ますように菅原の肩を叩いて立ち上がった。
ウォーミングアップを始める彼を見て、菅原も気を取り直して動き始めた。
合宿まで、あと一週間。