第69章 作品解説
☆『ディストピア』『罪』『楽園』
『ディストピア』とは、『ユートピア』の対義語です。『シャングリラ』は『ユートピア』の類義語ですから、『シャングリラ』と、ほぼ対になるタイトルとして設定しました。……こう書いてしまうと、何だかややこしいですね。
まぁ、簡単に言うと、PSYCHO-PASS(『シャングリラ』)の社会はディストピアですが、ヒロインと縢にとっては、一緒にいられれば、ほんの少しでも、この世が『ディストピア』だという事実を忘れられますよ、ということです。
あと、『罪』では、縢視点になっているので、心情を随分描写出来た気がします。『―――――――――そうだ。その結果が、これだ。物心ついた時から、俺は『潜在犯』。呪われた人生だった。それが分かっていながら、「普通」の幸せを、それも「恋愛」なんかを望んだ俺への、「罰」だ。……、そうだった。俺たち『潜在犯』は、そういうふうに、なってるんだった。望めば望むだけ、裏切られる。手を伸ばせば手を伸ばしただけ、その手は傷だらけになる。この『社会』は、そういう仕組みだったんだ。分かりきっていたことじゃないか。不条理は、今になって湧き出てきたものじゃない。だから、俺が、彼女に手を伸ばせば伸ばすほどに、俺は苦しむし、伸ばされた側の悠里ちゃんもまた、害を被(こうむ)ることになるのだ。……なんてよくできたシステムなのだろうか。』長文で読みにくいかと思いますが、縢の頭の良さを表現できていればいいなぁと思います。縢は、そのチャラい言動から、(アニメだけだと特に)おバカキャラとして見做されがちですが、絶対違うと思います(笑)。勉強する機会が与えられなかったし、勉強に向いてはいないかもしれませんが、頭の回転は速いと思われます。流石に、狡噛や常守朱、唐之杜といった面々には勝てないでしょうが。
あと、最後のヒロインの独白部分も、結末を読んでから読み返すと、「あっ……」ってなりますね。