第38章 小さな世界
私の心の中には、いつも何となく秀星くんがいる。
それは別に、四六時中秀星くんのことばかりを考えているとか、他のことが全く手に付かないとかいうことではなくて――――――そう。ふとした時に、何となく心の中に秀星くんのことが自然に浮かぶとか、そういうこと。例えば、落ち込んだ時とか、ちょっと辛いなって思った時に、秀星くんの笑っている顔が思い浮かんで、なぐさめられたような気持ちになるとか、そういうこと。私の頭の中なんて、ほとんど何にもないし、強いて何があるかを挙げるとするなら、自分のことばかり。そこは、全く以って小さな―――――いや、矮小(わいしょう)と言い換えてもいいような、そんな世界。それでも、私の中には紛れもなく、秀星くんがいるんだ。