第4章 君の存在~藤堂平助編~
まるでこの世界に二人だけしか居ないかのように俺と志信は寄り添って横たわる。
少し汗ばんで温かい志信の身体を大切に抱えて、俺はこの先の事を考えていた。
一君が新選組に戻る……当然何かが起こるだろう。
………嵐が来る。
その時、俺はどうするんだろうな。
きっとまた迷って、悩んで、じたばたするんだろう。
でも志信が一緒に居てくれたら、自分が選んだ道を信じられる気がする。
真っ直ぐに前を見て歩き続けられる気がするんだ。
「………平助?」
俺の顔が不安気に見えたのか、志信が心配そうに見上げてきた。
「……ん?」
俺がその視線に応えるように見返すと、突然志信が上体を起こし覆い被さる。
「ねえ…やっぱり平助は幸せになりたいって思わなくていいよ。」
「え?」
俺が驚いて志信を見上げると、にっこりと笑って言った。
「思わなくても…私が幸せにしてあげる。
いっぱい幸せにしてあげるからね。」
志信の唇が落ちてきて、俺の舌を絡め取る。
それを素直に受け止めて……俺は思った。
志信の存在そのものが俺の道標なんだ。
だからこの先、絶対に手離す訳にはいかねえ。
志信の肩を掴んで身体を反転させると、今度は俺が覆い被さる。
「あのさ……これ…また大きくなっちまっただろ。」
そう言って志信に分からせるように腰を押し付けると
「…………あっ」
志信の頬が桜色に染まった。
その愛おしい反応に満足して俺は志信の柔らかい胸に顔を埋めてから囁いた。
「志信………責任…取れよな。」
了