第4章 -文化祭①-
ガチャン…
「ちょっ⁈」
「おいっ!高尾っ‼︎」
わたしと宮地の手は、なぜか高尾くんに1つの手錠で繋がれていた。
「ウチのクラス、”愛の”脱出ゲームやってるんすよー!これはもうお2人に参加してもらうっきゃないっしょーってコトで♪♪」
「あの…意味が…?」
「秀徳ベストカップルのおふ…」
「「カップルじゃないっ‼︎」」
高尾くんのことばを2人でハモって遮った。
「ま、お2人が参加してくれたら、話題性も信憑性もバッチリだし!ウチのクラス人気投票1位間違いなしっ!てゆぅわけなんで♪」
「な…っ⁈」
「ほらほら!はい!スタート‼︎」
「きゃっ…」
わたしたちの抗議も虚しく、高尾くんに背中を押され、そのまま教室に入った。
”ベストカップル”が本当だったらいいのに…。本当は去年の文化祭のベストカップルコンテストで推薦枠で勝手に選ばれただけ…。わたしと宮地は付き合っていない。
「はぁ…で、どぉすりゃいいんだよ?」
「この迷路の中でクイズして…手錠の鍵があるみたいだよ。」
「ふーん…つぅか、ココ、せめぇなっ!すみれ、行けるか?」
「…っ⁈あ…うん。」
わたしは宮地とくっついて抱き締められるように迷路の道を通った。
どぉしよう…ち…近い。
「いて…っ!すみれ、おせーぞ!ったく…しょーがねーな!」
…っ⁈
宮地は手錠で繋がれた手をギュッとしてくれた。
「あの…⁉︎」
「このほうが早いし動きやすいだろ?」
「う…ん。」
ただでさえ、ドキドキしてたのに…緊張しちゃう!
「…やっぱ高尾の思い通りにすんのもシャクだな。」
「え⁈」
何か考えていた宮地が突然わたしの手を引いて走り出した。
「強行突破だ!」
「ちょっ⁉︎宮地⁈」
そのまま2人で逆流して入り口に戻る。
ガラッ…
「おわっ⁉︎宮地さん⁈すみれさん⁈」
「はっは〜!高尾ー!おまえの思い通りにはさせねーよ!わりぃな!」
手錠をして手を繋いだまま人混みを駆け抜け、誰もいない空き教室にたどり着いた。
「宮地⁈鍵‼︎どうするのよ⁈」
「なぁ?」
「もう…なぁに?」
宮地は手錠で繋がれた手を、またギュッと握ってきた。
…⁈
「鍵…いらなくね?」
「え⁈」
「オレ…おまえとならこのままでいいや。」
---End---