第17章 再び
カチャカチャ
「ホット3つお待たせしました。ごゆっくりどうぞ」
大「…ちゃん、ごめんなさい。酷いこと言ってしまったから、ずっと謝りたかってん」
錦「ごめんなさい。…謝って簡単に許してもらえるなんて思ってもないけど…」
大「もう、戻ってきたくない??」
「…だって、お店には風月ちゃんが…」
錦「そいつならおれへんで」
「えっ??」
錦「おっさんらが辞めさせた」
大「辞めたのはホント。風月ちゃん、今の職場の人に代わりにケーキ作らせててん。最初に丸が目撃してて、それを突き止めるためにみんなで店におったら案の定。その時に、全部吐いたで」
「そう…。でも、お店ができてるってことは、誰かがいるんでしょ??」
錦「仮でな。たぶん、ちゃんの知ってる人やで」
大「前の職場にいるパティシエさん。ちゃんにずっと謝りたかってんて。辞めたのが自分の責任やないかってずっと罪悪感に苦しめられててん。その罪滅ぼししてる」
「そんなの、もういいのに…」
錦「やったら、ちゃんと言わんとあかん。みんな、ちゃんに負い目しか感じてないねんで」
「……」
大「俺らもあの人たちもそう。ちゃんとちゃんと向き合って話ししたいねん。アカンかな??」
「…でも私、みんなに酷いことしちゃったし…」
錦「なんもしてへんやんか。だから、おっさんらもヤスも丸も俺らも、必死になって探しててんで」
大「戻ってきにくい??」
「…うん…」
大「それなら大丈夫やで。なんとかして店を続けられてるのは、すばるくんのお陰やねん。いつも通りにしてないとちゃんの帰ってくる場所がなくなるからって」
錦「みんな、ちゃんが帰ってくるの待ってんで」
「……(泣)」
ポンポン
大「大丈夫。みんな、ちゃんのこと好きやから、必死なんやで」
「…でも、今さらどんな顔して帰ったらいいの??」
錦「そんなん、俺らに任せてや」