第3章 変わる心境
カルマ視点
「赤羽業。起きられるか?熱を計れ」
鶫ちゃんに言われ、返事することもなく、上体を起こし俺から体温計を受けとる。
「何度だ?」
「39.7」
「そうか、寝てろ」
口調こそぶっきらぼうだが、扱いは丁寧で気遣かってくれているのが分かる。なんとなく嬉しく感じる。
言われた通りに大人しく横になる。
鶫ちゃんが、手に氷の入った袋を持って来る。そのまま直ぐに置いてくれるのかと思いきや、一回躊躇して止めた。
疑問に思ったけど、身体が怠くて喋るのも面倒だったから、何も言わない。
「冷たい……」
「君の体温が高いだけで、私の手は冷たくない」
思わず口を付いて出た呟き。
鶫ちゃんはそう言ったけど、確かにひんやりとして冷たい手だった。
汗で額に張り付いた前髪を、左右に分けて氷袋を置いた。
何時もからは想像出来ない優しい仕草で凄く意外。その仕種が凄く落ち着く。
静かに目を閉じると、鶫ちゃんの呆れた様な声がした。
「全く。E組の子達といい、こいつといい、警戒心の薄いことだ。もし私のターゲットがE組だったらどうするんだ。」
「はい。それで大丈夫です」
いきなりの殺せんせーの声が聴こえて、驚いた。慌てて起きそうになったけど、押し留まった。
機嫌の悪そうな鶫ちゃん。
「…………何時からそこにいた」
「全く。E組の子達といい、こいつといい、警戒心の薄いことだ。もし私のターゲットがE組だったらどうするんだ。からです」
結構前から聞いてんじゃん。何?盗み聞き?
「一ノ瀬さん、良いですか。E組の皆さんが貴方を警戒していないのは、もう貴方を仲間だと認めているからですよ。だから、仲良くなりましょう」
少しの間の後、鶫ちゃんの返事。
「その言葉、信じるぞ」
「ええ、そうして下さい」
「カルマ君は先生に任せて下さい。看病は初めてなのでしょう?」
「何故それを!?」
「おや、声に出てましたよ」
それね。俺も聴こえてた。
「なら、私は教室に戻る」
「はい。ではまた」
そこで鶫ちゃんは立ち止まる。
「赤羽業。寝た振りをしていても無駄だ。さっさと寝ろ」
それだけ言い、満足そうに保健室を後にした。
何だ、寝てないのばれちゃってたのか。