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【ハイキュー‼︎】【オムニバス】 岩泉一の恋愛事情

第4章 松川一静の観察



「なんで?」

「さあ。知られたくない理由があんじゃねぇの?」

「知られたくない理由……?」

「ウシワカの練習を観れる機会より優先する用事……と関係あんじゃねぇの……?」

今日は月曜日で、練習は休みだ。

思い返せば、ここ2か月近く、月曜日の放課後、岩泉が俺たちと一緒にいたことがない。

岩泉の彼女。

どんな子だろ。

岩泉と会話、あるのか?

小学校の時からバレー一筋。

読む雑誌は月刊バリボーとジャンプだぞ、あいつ……


        ******


「昨日、どうだった?」

翌日の昼休み、アイスを食べながら雑誌を見ていると、岩泉が花巻と一緒に教室に来た。

昨日見たウシワカの練習っぷりをざっと教えると、岩泉は真剣な顔して聴いている。

「定期的に練習試合やるみたいだから、また行こうぜ」

「おう。次は行く」

いつもの岩泉だ。変わりはない。

「あ、それ先週末から公開だったんだ」

花巻が机の上の雑誌を見て指さす。

「あ、そうそう、ちょっと面白そうだと思って、行きたいんだよな」

「ホラーと見せかけて推理モノとか言うヤツだろ。なんかオチがすごいって聞いたけど。俺もちょっと気になっててさ」

滅多に口調に変化がない花巻のテンションが珍しく高い。

最近ブレークした可愛い女優が主演で、前評判がいい映画だ。

「あ、それ確かに悪くなかったぞ。面白かった」

岩泉の一言に、え?と花巻が固まった。

「おまえ、もう見たのかよ?」

「ああ。ちょっとホラーきついとこあるけど、推理は手が込んでてよかったぞ」

「そうなんだ……」

「あ、次移動教室だから、行くわ。じゃあな」

「おー、またな」

「あとでな」

颯爽と出て行く岩泉の後姿を見送りながら、花巻が呟いた。

「あいつ、昨日映画だったんだ」

「みたいだな」

疑う余地もない。

先週土曜日公開の映画。

週末は朝から夜まで練習だった俺たちが映画を観れるのは昨日しかない。

「なんつうの、こういうの」

「あー、頭隠して尻隠さず?」

「そうそう、それ」

花巻は納得したように頷くと、「あ~青春」と歌いながら自分の教室へ戻っていく。

岩泉の彼女。

及川のコロコロ変わる彼女ならすぐに顔が思い浮かぶが、岩泉については想像がつかない。

一応親友と言われる及川さえ知らないって………誰だ?




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