第8章 私にも春がきた
冬を越してとうとう卒業ライブの日が近づいて来た。
これまでの約1年間は必死過ぎてあっという間だった気がする。
ななみさんや最初君ともうまくやってこれたのもお笑いが好きと言う共通点があったから。
「2人はどこの事務者を受けるつもり?」
ある日ふと、ななみさんが私達にこう聞いて来た。
「考えたことなかったな。確かにそろそろ卒業だもんね。」
私達はあくまでも養成所に入っただけなので所属する事務所を探さなければいけなかった。
「私は人力舎、浅井企画とグレープカンパニーを受けるつもりよ。」
ななみさんは淡々と言った。
「私は・・・最初君はどこがいい?」
私は最初君に聞いた。
「俺は大手を受けてみてダメなら小さいとこでいいやって思ってる。吉本とかワタナベとか受けてみてダメならタイタンとかケイダッシュステージもあるし松竹芸能もいいよな。」
「確かにそうね。」
私は頷いた。
「卒業ライブまであと少しか。あっという間だったけどあなた達と仲良くなれてよかった。卒業しても連絡取りたいからよろしくね。」
「こちらこそよろしく!」
私と最初君とななみさんは握手を交わし合った、
たとえ事務所が違くても他事務所合同ライブとかで会うかもしれないから。それにここで出会った友情は決して忘れることのないようにと、お互い誓い合った。
私はこの出会いを忘れることはないだろう。