第2章 猫系彼氏、キヤト
「だめ、ってば...キヤト、まだお昼、だよっ...」
手足をばたばたとさせ何とか抵抗を試みるも彼はぎゅぅ、と腕の力を強くして離さない。それどころか、ワンピースの後ろのジッパーを唇で挟んで開けた。
「ちょ...、もぅっ...!」
慌てて体を捩るも間に合わず、肩が外気に晒された。そこに彼の唇が触れる。横暴な態度とは裏腹に、まるで誓いのキスの様に...。
「んっ...!」
ぞくり、と体が震える。ヤバい。流されてしまう。駄目なのに。まだ、昼ご飯も食べてないのに。キヤトは私の肩をちゅ、とリップ音を立てて吸い上げた。
「っは...ぁ、んぅっ...」
微かな痛みの後。顔を離した彼は先程まで口付けしていた部分をそっと指先で撫でた。
「...付いた、な。」
「ふぇ...?」
首を傾げるとキヤトはふっ、と微笑んだ。
「キスマーク。俺の、って印。」
「なっ...!っ、こんなの、付けなくても...私、最初からちゃんとキヤトの、だよ?」
「分かってる。でも、最近お前を狙ってる野郎が多いから。」
そう言いながら彼は私のワンピースのジッパーを上げる。続けてぽんぽん、と頭を撫でられる。なんのかんの言って優しいんだよな...。こう言う所が好きだなぁ、と思う。
「でも、随分と気持ち良さそうな声出してたじゃねぇか...あのまま、襲って欲しかった?」
せっかく人が好きだなぁって思ったのに!耳元で囁くキヤトはやっぱり意地悪だ!でも、そんな所も、やっぱり。
「好きだよ、キヤト。」