第1章 君の声にかき消されて…
少しの沈黙。
「ちょ、冗談やって!そないマジに取らんとってや。
言うた俺が恥ずかしい」
と、慌てる渋谷さん。
「そんなことないです、確かに私はまだまだなんです。
でも…絶対に追い抜いてみせますから‼︎
渋谷さんの歌に負けない、自分にしか歌えない歌を歌ってみせます」
この時はなぜか認めて貰いたい気持ちが高くて見栄を張った。
「おん、楽しみに待っとるわ」
渋谷さんは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに自信に満ちた笑顔になって言った。
追い越されるのが楽しみなのか…それとも相手にしていないのか。
どちらだかよく分かんないけど、宣言したからには精一杯やり遂げる。
それが私と言う人間の生き方だ。