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【恋の乱】才蔵さんの嫉妬【R18 裏】

第2章 ※※


「で、あやねとずっと一緒にいるあの男は誰?」

彦兄ぃが来てから5日後くらいに
才蔵さんは帰ってきていたらしい。

らしいというのは私の前に姿を見せてくれなかったから。
実は帰ってきていた、と後で聞いたのだ。

「あやねの従兄弟の彦左さんだよ。
あやねは彦兄ぃって呼んでるよ。
かなりの商売上手だな。
あやねの作った団子はきっちり売りさばいて帰ってくるんだ。

最初に俺の貸した金はもう返してくれた。
そろそろ路銀も貯まってきてるはずだから
京に帰るんじゃないかな。
まあ、心配いらないと思うぜ。
二人は兄妹みたいなもんらしいし。」

幸村はにこやかにスラスラと答える。
幸村も城の人達も彦左のことをすっかり気に入っている。

元々行商人であちこちに得意客を持っているくらいだから人付き合いが上手いのだ。

城勤めで忙しい人達の城下での買い物なども請け負い
皆に重宝がられている。

「ふーん、で、妻子は?」
「さあ…どうだったかな。
そう言われれば女房子供のこととか
あやねも彦左も全く言わないから
独り身なのかもな。」
(それってだめじゃん)

才蔵は彦左本人には全く興味はないが、
いつもあやねと一緒にいること、
特に夜は屏風を隔てただけで同じ部屋に寝泊まりしていることが気に入らないのだ。

二人は幼い時から近所に住み兄妹のように育ってきたらしい。
そのためお互いに全く恋愛感情も性的興味も無いようだ。
再会時に彦左の看病するためにあやねと同じ部屋で寝起きするようになり、他に使用人の空き部屋もないことから、なんとなくそのままになっているらしい。

でも、成人した男女が同じ部屋で寝起きって、
どうなんだ?
なんで幸村は許してるんだ、
いや、幸村だけじゃない、
城の皆がごく当たり前のことのように。

俺だけがイライラしてる?
は?なんだこれ。
嫉妬か?この俺が?はあ?
上忍の俺が?たかが女一人に心を乱してるのか?

「…気に入らない」
「あ?なんか言ったか?」
幸村が才蔵に聞き返したが、
才蔵はその場からもう消えていた。
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