第5章 ドアは、正しく開けましょう
ピンポーンと、一度インターホンを鳴らすが返事はない。
『いないのかな』
山「いや、それはないと思いますよ。あの人たち暇なんで」
コスプレみたいな格好をしたジミーが答える。
この真っ黒な烏みたいな服は、真選組という警察組織の制服らしい。
元攘夷志士の白夜叉殿が、警察と知り合いだなんて…。
いや、それにしても出ないな。
ピンポーン
ピンポーン
ピンポーン
ピンポーン
…出ない。
『ジミー』
山「はい?」
『ほんとにいるのよね?』
山「はい」
『わかった』
私は呼び鈴に人差し指をくっつけたまま、小さく息を吐き出す。
『良い子は真似しちゃダメよ』
そして、
『ははははは!!!私を無視するなんざ、百年早いんだよ!!!』
そう言いながら、私は、凄まじい勢いでインターホンを鳴らす。
最初は呆気に取られていたジミーは、ハッと気がついたような顔になり、私を止めた。
山「な、何してるんですか!!怒られますよ!?」
『いや~、一回やってみたかったんだよね~』
よい子も悪い子も真似してはいけませんよ
ジミーと話していると、中から誰かが走ってくるような音がしたので、私はドアから離れた。
山「瑠維さん?」
『頑張って!山崎くん!!』
私がそう言い終えた瞬間、ドアが派手な音をたてて、本来なら開かない方向・・・つまり、山崎目掛けて縦に開いた。