第1章 変わり続ける日々1
~プロローグ~
神谷 梓は孤児だった。
小さい頃両親ともに殺害され、親戚もなし。
この前までずっと一人で暮らすことに慣れてしまっていた。
しかし16の時あることを境に日常が一変した。
この物語はそんな悲しげな少女の物語。
笑っていれば人は集う。
~壱日目~
「ここどこだ?」
梓は見知らぬ場所のベッドで寝ていた。
その部屋は綺麗に整理されており、医学の本が沢山並んでいた。それも外国語のも多数ある。
「おぉ!おきたか。おはよう、見知らぬ少女。」
「おはよう。あなた誰?」
「まぁ、そうなるよな」
一人の男は苦笑しながら近くの椅子な腰を下ろした。
「俺の名前は北山 啓。よろしく。えーとね。まず君が何で此処に来たか説明するね。」
梓が質問しようとしたことを悟って説明しだした 。
「君は急に道端で倒れたらしい。助けたのは俺のじゃないからその時のことは分からないけど。で、一応助けた一人の人物は君を心配して此処へ連れてきた。俺のこれでも医学が専門なんだけど、倒れた理由は発作かな。今の君の表情を見ると図星なのかな。」
「えぇ。」
「で、この場所の話なんだけど。此処はアーシル学院。有名だから君も知ってると思うんだけど……」
「あたりまえです…」
アーシル学院とは少し変わった学校としても有名だ。
「この学校を卒業した人達が能力を持って帰ってくるのですからそりゃ有名にもなります。」
「まぁこの学校じゃあたりまえなんだけどね。」
と話してる間に部屋のドアが開いた。
「おぉ!君大丈夫だったかい?」
何かやけに馴れ馴れしい老父の登場。
「この人が君を助けたんだよ。まぁ運んだのはもう一人隣にいた男子生徒だったんだけどね。優秀な子だよ。」
「初めまして。神谷君だったかな?此処の学校の校長をやっている山本というよ。よろしくね。」
「あの、何で私の名前……」
「あぁ!町じゃ有名じゃない?美しい少女がいるとね。しかし両親とも事件で亡くなったとか…可哀想に。」
「可哀想などと思ってほしくありません。」
「これは失礼。しかしここで会ったのも何かの運命。神谷君。この学校に転入しないかい?勿論、学費も要らないよ」
とてもいい話だ。しかし梓は乗り気にならなかった。…なれなかった。