第2章 【ファーストキスは何の味?】丸井ブン太
「お前、ファーストキスは何の味か知ってっか?」
「は?なに言ってんのよ?突然。」
「いいから早く答えろよ?」
誰もいない教室で、彼がしてきた質問に、私はうーん?と考える。
「なんだ、わかんねーのか?じゃ、ヒントな?」
彼がそう言ったと同時に感じたのは、唇に何かが触れた感触と、ふわっとかおるグリーンアップルの香り・・・
・・・?
突然の出来事に何が起こったかわからず、ぽかーんっとしている私に、彼は得意げな顔でもう一度質問する。
「で、ファーストキスは何の味?」
グリーン・・・アップル?
そう言う私に、彼は、だろぃ?と満足そうな笑顔を向けて教室を後にする。
グリーンアップル味のガムを膨らませながら。
私は指でまだ残っている唇の感触を確かめながら、その残り香の余韻に浸る。
ファーストキスは
彼の噛んでいたグリーンアップルガムの味____
【ファーストキスは何の味?】丸井ブン太