第11章 【Can you marry me?】跡部景吾
指輪に花束、夢のようなシチュエーション
大好きなあの人からの素敵な素敵なプロポーズ
女の子なら誰でも一度は憧れる
一生に一度の甘い夢____
【Can you marry me?】~跡部景吾~
東の空がうっすらと白み始め、夜明けが近いことを告げる。
腕の中で穏やかな寝息を立てる彼女を、俺は愛おしく見つめる。
将来、跡部グループをまとめる俺は既に重要なポストについていて、当然だがいつも忙しく思うように会うことも出来ない。
だからたまに会うとついついお前に無理させてしまう。
悪かったな、そう呟いて所々に残る愛の痕にそっと唇を落とす。
学生の頃のようにいつも一緒にいられないのは仕方ない。
それが大人になるということだ。
自分の都合でいつも寂しい思いをさせている癖に、もっと一緒にいたい、毎日お前を抱いていたい、そう思うのは俺の我儘だろうか。
彼女の左手薬指に誓いの証をはめると、やさしく髪をなでる。
「・・・ん・・・・・けーご・・・?」
「安心しろ、ここにいる。」
「・・・今・・・何時・・・?」
「まだ4時前だ、もう少し寝てろ。」
「ん・・・」
そして彼女はまた俺の腕の中にもぐりこみ、そっと胸に頬をよせる。
そんな彼女の動きがピクッととまり、違和感のもとに視線を向けると、大きく見開いた瞳から大粒の涙を流す。
「これからはずっと一緒だ。」
そう言って涙を拭いてやると、笑顔になった彼女の唇にそっと自身のそれを重ねた____
【Can you marry me?】 跡部景吾