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【テニプリ】作品集/乙女気分

第27章 【静寂】手塚国光




サワサワと風が枝葉を揺らす音。
あなたの頬を照らす木漏れ日が、ユラユラと小刻みに揺れる。


顔を上げて木々の隙間から差し込む日差しに目を細める。
膝には心地よい重圧感・・・
少し戸惑ってから、ゆっくりとあなたの金茶のくせ毛に指を通す。


ゆったりと流れる時間・・・
まるでここだけ別空間のよう・・・


ズルリと力なくずれ落ちたあなたの腕から、読みかけの本を手に取り栞を挟む。
ノンフレームのメガネを外すと、いつもシワがよりがちなその眉間は、今はとても穏やに落ち着いていて・・・


普段、決して見られないその無防備な様子に、彼も安心してくれているのかな?、そう思うとこの二人きりの時間が、ますます特別なものになる。


テニス部の部長で生徒会長の彼は、いつも人の何倍も忙しくて働いていて・・・
自分に厳しくストイックな彼だから、決して手を抜いたり、人に任せてしまうことなんてなくて・・・


だから、いつも全部、自分で抱え込んでしまっていて・・・


そんな彼が心配で、でも部外者の私には何もしてあげることができなくて、できることと言ったら、ただ黙って見守っていることだけで・・・










「・・・眠っていたか?」
「はい、10分くらい・・・」


そうか、そう言って起き上がった彼にメガネと本を手渡す。
膝にかかっていた重みがなくなり、ほんの少しだけ残念な気持ちになる。


「・・・すまない。」
「何がですか?」
「せっかく時間が取れたのに、つい寝てしまった。」
「構いませんよ?二人でいれば幸せですから・・・」
「そうか・・・俺もだ。」


思いがけない彼の言葉に目を見開いて、それから、ふふっと頬を緩ませる。
まさか彼が応えてくれるなんて思わなくて・・・


何がおかしい?、そう問いかける彼に、いいえ、なにも、なんてゆっくりと首を振る。


「もう少し、膝を貸してくれるか?」
「はい、いくらでも・・・」


そしてまた訪れる、静かな時間・・・
聞こえるのは風の音と、二人がめくる本の音・・・


私たちの間にあるのは、いつだって心地よい静寂___







【静寂】手塚国光
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