過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第4章 再び地下街へ
「何故おまえさんがその事を知っている?」
「エッカルト・アーデルハイトをご存知ですか?」
「あぁ、仲間じゃった男の名だ」
「壁外調査の折、ナナシがエッカルト・アーデルハイトの
地下室へ案内してくれました。その際拾った日記帳に
当時の事が書かれていました」
「・・・それでエッカルトは・・・・」
「既に亡くなられていました。恐らく自決だろうとナナシが
胸に刺さっていた短剣を形見として持ち帰り、
今は私が持っています」
エルヴィンは懐からマインゴーシュを取り出し、
クレイグに見えるようにカウンターへ置いた。
それに見覚えがあったのか、クレイグは「そうか・・・」と
肩を落とし、マインゴーシュを懐かしそうに撫でる。
「改造手術や戦術、技についてはナナシから聞きました。
・・・しかし、肝心のナナシの立ち位置がよくわからない。
ナナシは『狼』では幹部クラスだったのでは・・・?」
「・・・・・・・・・・・」
エルヴィンの問いかけに答えるかどうか逡巡していたクレイグは、
独白のように話し始めた。