過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第33章 ナナシの想い
エルヴィンがモヤモヤした気持ちで書類仕事をしていると、
扉のノック音が聞こえたので「入れ」と声を掛けた。
どうせまた部下が追加の書類を持ってきたのだろうと
高を括っていると、入ってきたのはナナシで内心驚く。
酷い事を言ったのでもう一度きちんと謝ろうとは思っていたが、
まさかこんなに早く、・・・しかもナナシからやってくるなんて
予想外だった。
「エルヴィン、少し話があるのだが・・・・今良いか?」
「あ、あぁ・・・一体どうしたんだい?」
ナナシはツカツカ執務机に歩み寄ると、
『心臓』の容器を机の上に置き、エルヴィンに言った。
「この『心臓』をお主に預けておきたい」
「っ!?」
驚愕にエルヴィンの双眼が見開かれる。
一体ナナシはどういうつもりで大事な『心臓』を
自分に預けるのだろうか?
怪訝そうな表情をするエルヴィンにナナシは正直に答えた。