過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第30章 続・不運な男
「何故だ?」
「必要ねぇだろ?」
「わざわざ会いに行く必要性を感じない」
シーナへ向かう馬車の中で、エルヴィン達は眉根を寄せて
ナナシに尋ねた。
『元・迅鬼狼』メンバーのカールからの呼び出しに応じて
ナナシは、エルヴィン、リヴァイ、ミケと共に王都を目指していたのだが、
その前に憲兵団のナイル・ドークの所に寄りたいと言った事で
エルヴィン達から非難を浴びているのだ。
だが、ナナシとしては、どうしても会っておきたい理由があった。
「必要ならある。何故なら私がいない間にやってきたナイルを
お主達が恐喝したらしいではないか。ならば謝罪するのが
筋というもの・・・。異論があるならば私一人で行く」
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
三人は黙って目を逸らした。
どうやら自覚があったらしい。
憲兵団本部に近づくと、顎に手を添えて何かを考えていた
エルヴィンがナナシに言った。