過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第18章 寄付してくれた婦人
定刻通りに貴族が来たらしく、
エルヴィンは応接室で接客しているとの事だったので、
ナナシがガラス製のポッドに花茶を淹れティーカップと共に応接室へ行くと
思いも寄らない人物がそこに居たため、
うっかりポッドを落としそうになった。
向こうも少し目を見開いたが、すぐにニッコリと会釈してきたので、
ナナシも慌てて会釈して初対面の振りをする。
応接室にいたのは、元迅鬼狼メンバーの孫である
アルフレッド・フォン・ヘルフだった。
確かに多額の寄付をしてくれるお貴族様だな、と思いながら
お茶の用意をしているとエルヴィンとアルフレッドの会話が聞こえてきた。
「祖父の喪が明けましたので、ここに小切手を用意してきました。
受取書にサインを頂いてもよろしいですか?エルヴィン団長」
「勿論です。・・・しかし、これだけの額のご寄付を頂けると思うと、
やはりご婦人にお礼を申し上げたいです。
お礼のお手紙を渡して頂く事は叶いませんか?」
「それなら大丈夫ですよ。お預かり致します」
「では、此方をお渡し下さい」
予め用意していたのか、エルヴィンは懐から封筒を取り出し
アルフレッドに渡した。
その様を目の端に捉えながらナナシが下がろうとすると、
アルフレッドに話し掛けられドキッとする。