過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第2章 赤い世界に射し込む蒼色
あの人、ナッちゃんにべた惚れみたいやったし・・・。
ツクモはナナシを実家に連れてくる際、
対峙したエルヴィンを思い出し苦笑した。
身体は動かない癖に、何が何でもナナシを連れて行かせないと
物語っていた鋭い眼光は、今思い出しても身震いする。
あれは絶対にイカれている男だ。
まぁ巨人とかいう化物と戦い続けているのだから、
その時点で既にまともでは無いが、ナナシに対する執着は
異常だと思う。
「・・・うちのヤンデレといい勝負かもしれへんな」
ポツリと自然と出た言葉に、ナナシは「何だ?」と首を傾げる。
ナナシに「何でもない」と返したものの、
心の中でツクモは「何でナッちゃんは問題のある男ばっかに
惹かれてまうんやろ」と嘆いていた。
いや、逆か?
問題のある男ばかりがナナシに惚れてしまうのか?
七十年前に愛したソロモンとかいう男も一見穏やかで
常識もありそうだったが、かなりイカれた男だったと回想する。