第1章 桜の花散ることも無し
1.
カーテンから漏れる
春の温かな日差しで
重たいまぶたを押し上げる。
もたもたと
居間の無駄に大きいテレビを
つけると桜の開花予報を伝える
新人アナウンサーの
あどけない笑顔が映った。
「今日は全国の多くの学校で
入学式が行われる模様です!
新入生の皆さんは桜にも
祝われながら、心地良く
デビューが出来ますね、
入学おめでとうございます!」
ありがとうございます。
皮肉っぽく、心の中で呟いた。
世の同級生たちは
晴れ晴れしい高校デビューに
心を踊らせているやもしれんが
僕にとっては相変わらずの、
憂鬱・倦怠ライフ である。