第4章 復讐の加速
美羽はよく乱入される兄、皇羽の対戦を見ていた。
少なくとも1日に2回はある。
いくら七大レギオンに左右と南を囲まれているとはいえこれはかなり異常なことだ。
まあお兄ちゃんのアバターネームの【ウォーデン】が北欧神話に出てくる『オーディン』だということが関係しているのかも。
それはさておき。
ステージは【氷雪ステージ】でどこまでも広がる雪原と所々にある雪塊。そして小高い傾斜と平地が特徴だ。
観戦をしている側は特にそんなこともないが当の対戦者同士はこの極寒のステージに腕をさすっているだろう。
このステージは対冷値がないと常に被ダメージを負ってしまうのだ。そしてお兄ちゃんのデュエルアバター【バーニング・ウォーデン】には対冷値など一粒もない。
まあお兄ちゃんにはチートとも言えるアビリティがあるからだいじょぶかな。
そして予想通り、体力ゲージが徐々に減ってくに連れ必殺技ゲージが回復していく。
お兄ちゃんがレベルアップボーナスで会得した【プロポーテンリカバリー】というアビリティは体力ゲージの残量に比例して必殺技ゲージが回復していくというほとんどチートのようなアビリティだけど、代わりにお兄ちゃんの【バーニング・ウォーデン】は色んな耐性値や防御力が脆弱なの。
きっと美織さんが言っていた『同レベル同ポテンシャル』というブレインバーストの原則がそうしているんだと思う。
...あ、お兄ちゃん槍なげた!...あっ!あたったあたった!凄いなぁ、流石私のお兄ちゃん。
そんなことを心の中で考えていると。
「ねえ貴女?心意システムに興味ない?」
そんな言葉と共に私はハスキーな声をしたマゼンダ色のデュエルアバターに話しかけられた。