第43章 ファイナルセット
そこからは早かった。
ブチ切れた優が
相手ブロックからブロックアウトをとるは
フルスイングと見せかけてフェイントをするは
レシーバーはふっ飛ばすは
見ていて可哀想になるほどだった。
周りも優に頼り切りになってられないと奮起し今までに無いほどスムーズな連携も取れた。
日本のマッチポイント サーバーは優
選「優、思いっきりでいーよ。」
優「、、うん。」
ボールを受け取った優は俺達のいる方をちらっと見た。
トントンッ
昔と変わらないルーティーンで気持ちを落ち着かせて、祈るように顔の前でボールを持ち大きく息を吐いた。
真っ直ぐ前を見つめる瞳は獲物を狩る獣そのもので
思わず身震いした。
高く放られたボールに合わせて綺麗なフォームで跳んだ優の表情は___
「笑ってやがる」
相変わらず楽しそうにバレーをする優に俺以外の奴も笑っていた。