第1章 見られた…?
俺は、7歳の時に父を亡くした。
飛び下り自殺だった。
何があったのか、17になった今も何も分からない。
どうして。どうして。
小学校でその話がどこからか流れ始め、俺は嫌われた。
「やーい、父なし男!」
「お前は立派に育たないんだな!」
「こんな奴ほっといて、あっちで遊ぼうぜ!」
負けてられるか。
そんな根性があった。
なのに。
俺が10歳の時、母が万引きを犯した。
当時の俺は万引きなんて言葉も知らず、ただ、家に帰ってこない母を不思議に思った。
母親代わりに俺の世話を見に来た家政婦が、「大丈夫ですよ、大丈夫ですよ」と、言い続けていたのを覚えている。
お母さん。
父も亡くして、お母さんもいなくなるのかよ。
俺はどうなるんだ。
俺の人生、どうなってんだ。