第4章 九尾襲来の日。それから。
その日。
両親の様子が朝からおかしかった。
どこかそわそわとしていて、落ち着きなくがなかった。
なにかあるのかなー、と思いはしたが、いつも通りわたしを家において仕事に出かけていったので、わたしには関係のないことなのだろう。
笑顔で「いってらっしゃい」と両親を見送ったあと、今更ながらに思った。
この状況おかしくないか、と。
だって、わたし、外見は2歳の子供だよ?それなのに一人で留守番させるって、前の世界じゃありえない。
忍者だからいいとか?
でも、まだ忍者の訓練とか受けてないよ?
はっ、ま、まさか・・!ぶっつけ本番・・実践あるのみ、みたいな投げやりな教育方針なのか!あの両親!見損なったよ!
そんな茶番はさておき。
ほんとに、どうして一人でおいてくんだろう。
考えても答えは出てこないけれども。
ああ、それに関係あるかは知らないけど、もう一つ不思議なことがある。
わたしが一人で家を出ようとすると出られない、ってことだ。
少し前、一人で留守番をしているのに飽きたわたしは、外で遊ぼうと思い、門に近づいたんだ。
そしたら、敷地を出る直前で、何かにぶつかって出られなかった。
何度やっても結果は変わらず、見えない何かにぶつかるだけだった。
はー。不思議、ほんと不思議。
両親に聞いてみようとも思ったけれど、外に出ようと思ったのがバレると、ちょっと怖い。
母は怒ると怖いのだ。
元不良のわたしがびびるくらいには。
ま、死が身近にある生活を送ってるからおかしくはないんだろうけど。
意外なことに父が怖くない。
部下の前ではすごく威厳がありそうだったのに。
世の中って不思議だよね。
て、わたしは何でこんなことを考えているんだろう。