第1章 ダイヤのA 御幸一也
「そんなに濡れたら風邪ひくよ?」
雨の中、しゃがみ込みうつむいていると
強く当たっていた雨が声とともにやんだ
上を見上げると、亮介先輩が傘をさして微笑んでいる
「亮介先輩・・・」
小湊亮「帰ろう」
「・・・・ダメなんです・・・私・・・帰れない・・・」
小湊亮「じゃあ気が済むまで一緒にいてあげる」
「先輩が優しい・・・」
小湊亮「泣きたいだけ泣いてもいいよ。皆にはだまっといてあげるから」
「・・・うぅっ・・・・・っ・・・・ひくっ・・・・」
先輩の言葉や表情は優しくて
私は涙が止まらなく零れ落ちてきた
先輩はそれをいつもより優しい笑顔で見つめて頭を撫でてくれた
「・・・ぜん・・・・ぱぃ・・・・苦じぃ・・・んでっ・・・す・・・っ・・・・好き・・・って・・・ぅ・・・・ぐ・・・・ぐるしぃ・・・・・・・ヒクッ・・・・」
小湊亮「そんなに苦しいならやめちゃえば」
「・・・え?」
小湊亮「御幸なんてやめて、俺にしとけば?」
「こんな時に・・・また・・・冗談ですか・・・
」ズビッ
小湊亮「本気だって言ったら・・・どうする」
「!・・・・そんなの・・・騙されまっ・・・・・」
バッ―
亮介先輩は、私の言葉を遮ってずぶ濡れの私を抱き寄せた
先輩のさしていた傘は下に転げ落ちる
「あっ・・・先輩・・・・濡れちゃいますよ」
小湊亮「はもうずぶ濡れじゃん」
「そぅ・・・ですけど・・・・」
小湊亮「落ち着くまで俺がこうしててあげるから・・・」
「・・・・・」
傷ついた心に、亮介先輩の言葉は優しすぎた
私は先輩の胸を借りて泣いた